2011年 5月 15日 更新

                                          酒井一郎

昨年の総会の会話の中から、“歴史を飲もう会”、“美術の会”の幹事の間で、予てから拷ち越しになっていた琵琶湖周辺の社寺の訪問・鑑賞を合同開催でやろうということになりました。
美術の会としては、2年に一度名古屋ボストン美術館を訪問、美術鑑賞を過去3回、一泊二日で実施し、名古屋在住の久米生光さん、清水建設の内藤克巳さんに大変にお世話になり、美術館以外の名古屋およびその周辺のご案内をいただきました。

来年はどうするかと思っておりましたので、この合同企画に乗ることにしました。三好彰さんは大津のご出身で琵琶湖方面は詳しく、企画段階から積極的にご参加をいただきました。
篠崎史朗さんは三井寺(法明院、フェノロサの墓)に強い関心をお持ちでした。

そこで、三好さんの話を良く伺い、今回の旅行を「比叡山延暦寺と大津 − 湖都の路(新緑の古社寺めぐり)」(略して大津旅行)と名付けることになりました。
まずは大津市観光振興課に電話を入れて資料を入手し、交通手段・ホテル、見学鑑賞ルートについて概算費用などを調べました。

又、当会会員であり、フェノロサ研究の権威である山口静一先生に、篠崎さんから連絡を入れてアドバイスをいただき、三人の聞で密接に連絡を取り、旅行の計画書を会報に掲載、5月24〜25日の一泊二日旅行計画で参加者を募りました。
会員からは14名のお申し込みをいただき、これをべ一スに旅行代理店をあたったところ、JR東海の関係で品川駅構内にある東海ツアーズからJR+ホテルの格安関西旅行セットクーポンが発売されていて、当初案より1万円も安くなることが判りました。

参加者には宿泊希望か、新幹線とのセット購入希望かの回答を求め、旅行代理店の確認後にチケット(クーポン券)の購入、決済方法をご案内しました。

この間、篠崎さんから山口先生に連絡を取られ、当日は先生がわざわざご参加いただき、法明院においてフェノロサ、ビゲロウについてお話しいただける手筈が整いました。ただ、先生がご懇意にしている法明院の阿闍梨滋野敬淳師のご都合で、法明院を尋ねる日取りが一日繰下げられ、比叡山延暦寺は前日の5月24日に訪れることになりました。

旅行の直前に、幸野真士氏の入院手術の日程が入り、幸野夫妻が不参加という事態が生じましたが、代わりに藤崎先生ご夫妻と、ボストンから来日中であった吉野耕一先生のご参加があり、変更が生じました。
幸いなことに、この直前の変更も東海ツアーズの方で、予約変更の手配を受け入れてくれましたので、何のトラブルもありませんでした。ホテルの手配も、当初は琵琶湖ホテルが予定されていました。しかし申込みの時には大津ブリンスホテルに変更されましたが、宿泊してみて、これが正解でした。

当日、参加者は東京駅午前8時33分発ののぞみ63号に、始発駅、又は最寄り駅から乗車するように求めました。昼食は京都到着前に車内で済ませることにして、参加者は指定席で乗車の方、都合で自由席の方に分かれ、さらに京阪電車石山坂本線石山駅に直行された方、様々なルートで参加されました。
当日、幹事間で旅行コースをチェックした結果、当初予定のJR京都駅でのJR琵琶湖線への乗り換えと、JR石山駅での京阪電車の石山坂本本線での乗り換えに敏速に行動することにしました。

京都駅では東海道本線ホームに11時前に新幹線組が落合い、JR石山駅に到着(11分)、駅の外で藤崎先生夫妻も合流し、京阪石山駅から石山寺駅(3分)に到着、徒歩(10分)で石山寺に向かい、石山寺には11時半過ぎに到着しました。

石山寺は琵琶湖に注ぐ瀬田川西側伽藍山の麓に位置し、新幹線の鉄橋越しに瀬田の唐橋が望める場所に建てられている。当日は晴天に恵まれ、境内を散策し、源氏物語の作者である紫式部ゆかりの展示品を見ることができました。(約1時問半)
石山寺拝観後、比叡山延暦寺に向かうことになったが、事前に琵琶湖タクシーに連絡を入れておき、石山寺駅から京阪石山坂本線近江神宮前駅に向かった(24分)。同駅前にはタクシー(5人乗り、又は6人乗りあり)3台を手配し、延暦寺根本中堂までタクシーで向かいました。(料金約2,500円前後)
お陰で、京阪電鉄と比叡山坂本ケーブルを使って行くより、随分と時聞も費用も節約できました。

比叡山延暦寺では、総本堂である根本中堂を中心に東塔と比叡山国宝殿の見学が目一杯で、西塔、横川は次の機会と言うことになりました。(2時間余)
根本中堂からケーブル延暦寺駅までは徒歩(10分)、途中、西日に輝く琵琶湖を良く跳め、ケーブルカーでケーブル坂本駅に下り(11分)、そこから紅若バスでJR比叡山坂本駅に移動(7分)。同駅からJR湖西線で山科駅(8分)、山科駅からJR琵琶湖線で大津駅(4分)に辿り着きました。

大津駅から少し離れた場所にはシャトルバスの出迎えがあり、午後6時遇ぎには大津プリンスホテル(38階建)に到着しました。湖岸に建てられたホテルの部屋からの眺望は素晴らしく、全室から琵琶湖を跳めることができました。
夕食は午後7時に予約しておきました。マルモラーダ特製デイナーバイキングでした。夜景を楽しみながら、乾杯し、ゆったりした気分で食事を取り、遅くまで歓談していました。その夜は、やや広めの部屋(14階)に置かれたツインベッドで心地よく睡眠をとることができました。

翌朝は小雨模様、ホテル最上階のレストランでの朝食後、篠崎さんが法明院までタクシーを手配され、タクシーに分乗して約10分で到着しました。
タクシーを下車して6〜7分歩いたところに法明院が緑に包まれて佇んでいました。朝早く東京を立
たれた山口静一先生が到着されており、ご住職とご一緒に、我々を出迎えていただき、本堂に通されました。(午前10時頃)。

本堂には仏像が安置され、フェノロサ、ビゲロウのお位牌・写真も飾られていました。障子戸は明け広げられ、雨に霞む琵琶湖が一望できました。
フェノロサ学会会員のスコット・ジョンソン関西大学教授(大津市在往)、幹事の岩井隆興さんも参加され、全員が本堂の畳に座り、ご住職の読経・法話のあと、山口先生からフェノロサ、ビゲロウのお話を伺いました。

山口先生のお話は大変面白いものでしたが、フェノロサ、ビゲロウが仏教に改宗した理
由のひとつに、ブッダは異教の神々に変身すること、キリストもその一例に遇ぎないと感じたことを挙げられました。面白いお話ですね。
この後、米国から持ち込まれた遺品や写真を拝観後、参加者全員の記念写真を藤崎博也先生が撮影、雨中、フェノロサ、ビゲロウのお墓に参拝(約1時間半)、ご住職、山口先生にお礼を述べ、雨中、徒歩で園城寺(三井寺)に向かいました。(30分)

三井寺本堂の金堂は修復作業中のために外側は天幕で覆われていたが、鐘楼、弁慶の引摺り鐘、釈迦堂などを拝観、見学後(1時間半)、境内の駐車場脇の茶屋にて昼食をとり、午後2時現地解散となりました。
帰路、直接帰京した方々、相国寺で開催されていた若沖展を見て京都に1泊した夫婦、沖縄まで足を延ばした夫婦、天の橋立に立寄る組、等々、皆が旅行を楽しんだ大変意義ある合同企画でした。
日本ボストン会 The Boston Association of Japan
日本ボストン会 The Boston Association of Japan

大津一湖都の路
〜新緑の古社寺めぐり〜