辻 篤子
2011年度の紅葉を見る会は、都立殿ヶ谷戸庭園で行われた。JR国分寺駅から歩いて2、3分の所にある、知る人ぞ知る名園である。一歩入れば、駅周辺の喧噪を忘れさせる、別世界のような静けさに包まれる。天候不順だった影響か、紅葉は例年ほどではないとのことだったが、16人の参加者は、内部の高低差10m以上という園内をそぞろ歩きながら、視点を変えての紅葉狩りを大いに楽しんだ。
この庭園は、東京都立の文化財庭園九つのうちの一つであり、都指定の名勝でもある。高低があるのは、武蔵野段丘の南縁に位置し、立川市から大田区まで25`に及ぶ「国分寺崖線」と呼ばれる崖の一部を利用しているためだ。
その後、駅前の一等地とあって商業施設などを開発する計画が浮上し、それに対する住民の反対運動が盛り上がったという。結局、都が買い取って、1979年から有料庭園として開放している。竹林あり、湧き水あり、都内でもちょっと例を見ない和洋折衷のユニークな回遊式庭園である。よくぞ残ってくれたものだと、参加者からは感嘆の声がしきりだった。
食事会は、庭園からまた2、3分の移動で、駅ビル9階にある中華家庭料理の店「華琳」へ。国分寺駅近くにある独立行政法人「情報通信研究機構」の広報担当の女性のアドバイスをもとに、藤盛幹事が事前に下見をして決めただけあって、料理もおいしく、気持ちのよい食事会となった。窓側に位置する個室からの眺めがすばらしいとのことだったが、人数が多すぎて個室には入りきれず。それでも、暮れゆく武蔵野の景色を少し離れた窓越しに楽しみながら、飲み放題のビールやワインなどがまたたくまに体内に吸収されていった。
食事会では、次回の紅葉を見る会の開催場所について意見が交わされた。ボストン会の紅葉狩りはこれまで、新宿御苑を皮切りに、駒込・六義園、奥多摩、神奈川七沢森公園、小石川後楽園、旧古河庭園、そして2010年の奥養老渓谷と、さまざまな名所をめぐってきた。
そろそろ1泊旅行を企画しては、ということで、それぞれがこれまでに訪ねた紅葉の名所の中でお勧めの場所を披露した。東北地方から、鎌倉、京都まで、さらには、成田からのボストン直行便就航に絡んで、ニューイングランドの紅葉にまで話題はふくらんだが、結局、吉野初代会長のご提案による美ヶ原高原を候補とした。今回も実は、美ヶ原高原の旅を試みたのだが、すでにホテルが一杯で取れず、次回は早めに手配することになった。
散会後、駅ビルのエレベーター前で開催中だった青森ひばの展示即売会に吸い寄せられ、心地よい酔いも手伝ってまな板やひば油などを買い込む結果に。その香りが八甲田の燃えるような紅葉も思い出させ、満ち足りた気持ちで家路についた。楽しい企画を立てて下さった、藤盛紀明、冨美子さんご夫妻と水野賀弥乃さんに感謝したい。
2012年 2月 6日更新