2014年 2月 26日更新
音楽の会 関 直彦
4本のフレンチホルンが解説付きで、重厚に、あるいは軽妙に織りなす、バロックから現代に至るまでのバラエティに富んだ数々の音楽。締めくくりは、お馴染みトレッチ・トラッチ・ポルカ。
あのボストン・ポップス・エスプラナード・オーケストラの4人のホルン奏者が7月17日、日本ボストン会のためにユニークなミニ・コンサートを催してくれたのです。場所はNEC芝倶楽部の手頃な大きさの大ホール。大成功でした。
ボストン・ポップスはほとんど毎年、7月にシーズンが終わると日本公演にやってきます。公演のない日は遊んでいるよりも日本人との交流を深めたいとの意向で、有志による奉仕のコンサートが実現したものです。日本ボストン会なら英語が通じるので、正にうってつけ。
当日、アメリカ大使によるレセプションが急遽入ったものの、大使の挨拶を聴いただけで駆けつけてくれ、また準備に要した時間と努力を考えると、頭の下がる思いでした。それに、約束したことに対する責任感の強さには感心させられます。(正直のところ、最後まで多少の不安がありましたが。)メンバー全員が、コンサート後の交歓会を大変喜んでくれました。Mutual benefitsの実現です。
毎年来日するとは限らないけど、来たときはボストン会のために毎年でもミニ・コンサートを提供してくれると、交歓パーティーの会場で約束してくれました。帰国後、ホルン部門のリーダーであるケビン・オーウェンから連絡があり、次回は弦と管で10人くらいのメンバーを揃え、チェンバー・アンサンブルをやろういう申し出もあります。楽しみですね。日本ボストン会活動の目玉の1つとなるでしょう。乞ご期待。
ボストン・ポップスについて
ボストン・ポップスの正式名称はボストン・ポップス・エスプラナード・オーケストラ。かつてボストンに在住していた頃、チャールス・リバー河畔で独立記念日を華やかに盛り上げるエスプラナード・コンサートや、シンフォニー・ホールでのギャラ・コンサートを楽しまれた人も多いことでしょう。
ボストン・ポップスは1885年、ボストン交響楽団の創立者でもあるヘンリー・ビギソンが、夏の間でも楽員に仕事を提供しようと始めたものです。飲み食いしながら気軽に聴ける楽しいプロムナード・コンサートです。1926年から半世紀にわたって指揮者をつとめたアーサー・フィドラーが現在の形のボストン・ポップスに育てあげ、世界的に有名でユニークな存在にしました。その後を引き継いだのがジョン・ウイリアムスで、作曲家としても数々のお馴染みの曲を生み出しています。現在の指揮者は、1995年に20代目として就任したキース・ロックハート。
ボストン交響楽団の組織の一翼を担うボストン・ポップスのメンバーの多くはボストン交響楽団の楽員でもあり、従ってポッブスがコンサートを催すのは5月4日から7月11日までに限られています。今回もそれが終了したところで、日本での公演にやってきました。
(関 直彦)
日本ボストン会のために演奏会を催してくださったボストン・ポップスのメンバーの皆さん。向かって左から、Richard
Menaul、Thomas Haunton、Kevin Owen、Nona Gainsforth