平成18年4月1日、恒例の日本ボストン会の観桜会が3年ぶりに千鳥が淵に戻ってきた。肌寒さの残る夕暮れ、パークマンション脇に会員が集合し、和やかに楽しい観桜会が始まった。

 今年の桜は心なしか白さが勝っているように思う。まさに満開の桜に誘われ出でた花見客の多さに圧倒されつつも、樹下では楽しいおしゃべりの花が満開、延々と流れ往く。まだ一片も舞わずにいる桜花のたわわな枝を見上げながら、桜吹雪を全身に浴びた数年前の観桜会を思いだした。今年はもう一度来てみようかと独り言。

 6時半からの九段会館での懇親会は、幹事の生田英機様の開会の辞に始まり、まず遠路の参加者から順番に紹介され、佐々木浩二会長が生田様のご配慮を謝し、ボストンからのお里帰りグループ、京都からの参加者に歓迎の辞を述べられた。ボストングループからは吉野静子様、石川喜子様、宇田悦子様、沖洋子様、菅野保子様、現在カルホルニアに移り住
んでいる原紀雄様ご夫妻、京都からは田中律子様、ジャメンツ登三子様ご夫妻がこの千鳥が淵の桜を愛でに駆けっけられ、私がお招きした吾妻綾子様、森野経子様も加わって各々が自己紹介をされた。

 会場にはもう一組のお客様がお待ちだった。能面師の橋岡一路先生と久美子夫人である。お能を愛好される生田幹事のご了承をいただき、懇親会にて橋岡先生のポストン美術館での能面の修復と夢にっいて語っていただいた。

 橋岡先生は12年前に鹿島財団の要請を受けて、ボストン美術館所蔵の能面調査を行い、2週間の滞在中に165面すべての調査を終了、更にそのうち5面の修復をされた。その折りに出遭われたボストンの方々のホスピタリティとボランティア精神に大変感動された由。「いつか、ボストンの方々にご当地所蔵の面と装東の生きた姿をご覧いただきたい、美術館の芝生で薪能をお目にかけることができたら、ご恩返しができます。それが私の夢です」と今も募るボストンの方々への感謝と熱い想いを語られた。

 また懇親会当日、北の丸公園での写生会に参加された方々の作品も紹介され、篠崎史朗様による参加者の写真撮影、最後は藤盛紀明副会長のご発声による三本締めの拍手で懇親会は8時半に終了した。

 毎年、ボストンを愛する方々と観桜会で集えることは大変意義深い。自身の中の日本とボストンの絆− 日本人としての誇りと、ボストンヘの郷愁一を会員の皆様と分かち合うことができるからだ。日本ボストン会の観桜会の温かさと和やかさは、やさしいさくら色に染まって私の心に沁みてくる。
日本ボストン会 The Boston Association of Japan

2006年 11月 29日

日本ボストン会 The Boston Association of Japan

千鳥が淵の桜に思う

水野賀弥乃